▶弁護士が語る企業の社会的責任と法的リスク
近年、ビジネスと人権の関係が注目されています。企業は利益を追求するだけでなく、人権を尊重し、人権侵害を防止することが求められています。
人権に配慮しないビジネスは、社会的な信頼を失うだけでなく、様々な法的リスクにも直面する可能性があります。
▶ビジネスと人権とは
令和2年に「ビジネスと人権」に関する行動計画が策定されました。
これは、企業による人権尊重の必要性について国際的な関心が高まる中で、日本政府が取り組むべき施策を示したものです。
「ビジネスと人権」とは
企業が自らの事業活動や関係者との取引において、人権をどのように影響させるか、また、どのように対応するかという問題意識を意味します。
人権には、生命や健康、労働や教育、表現や信教の自由など、様々な分野が含まれます。
企業は、自らの事業活動によって、直接的にも間接的にも、人権を侵害する可能性があります。
直接的な人権侵害の例
例えば、労働者の長時間労働やハラスメントは身近な問題といえます。他にも、環境汚染や地域住民の健康被害、サプライチェーンにおける強制労働や児童労働などが挙げられます。
間接的な人権侵害の例
企業は、人権を侵害する第三者に対して、協力や支援、黙認や無関心を示すことで、間接的に人権を侵害する可能性もあります。例えば、人権を無視した国家や軍事勢力との取引や投資、人種や性差別を軽視する企業との提携や広告などが挙げられます。
▶ビジネスと人権のためにできること
「ビジネスと人権」に関する行動計画には、以下のような「基本的な考え方」が示されています。
1 政府、企業、社会全体における「ビジネスと人権」に関する理解促進と意識向上
2 サプライチェーンにおける人権尊重を促進する仕組みの整備
3 救済メカニズムの整備及び改善
▶おわりに
ビジネスと人権の関係は、企業にとって無視できない重要な課題です。企業は、人権を尊重し、侵害を防止することで、社会的な信頼や評判を高めるとともに、法的なリスクを回避することができます。このコラムが、ビジネスと人権の関係に関心を持つ方々の参考になれば幸いです。