定年退職はまだ先でも…将来の「退職金」は財産分与の対象になる?
「夫(または妻)の定年退職はまだ何年も先ですが、将来もらえるはずの退職金は、離婚時の財産分与で分けてもらえるのでしょうか?」
このようなご相談を弁護士として多くお受けします。離婚を検討されている方にとって、将来の退職金は重要な財産です。後楽園フィリア法律事務所の弁護士が、将来の退職金の財産分与について詳しく解説いたします。
結論:将来の退職金も原則として財産分与の対象となります
退職金は「給与の後払い」という性質があるため、退職がまだ先であっても、退職金規程などにより支給が確実視されている場合は、原則として財産分与の対象となります。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、企業の74.9%が退職金制度を導入しており、その多くで将来の退職金が財産分与の対象と認められる可能性があります。
1. 基本的な計算方法:「今の時点で自己都合退職した」と仮定する
退職までまだ相当の期間がある場合、現在の家庭裁判所の実務では、「別居時(基準日)に自己都合退職したと仮定した場合の退職金額」 をベースに計算するのが原則です。
退職金の全額がもらえるわけではありません。財産分与の対象となるのは、退職金を受け取る人の勤続期間と婚姻期間が重なる時期が対象となります。
基本的な計算式
基準日の自己都合退職金相当額 × (婚姻後の同居期間の月数 ÷ 入社から基準日までの在職期間の月数)= 財産分与の対象額
かつては「将来の退職金の支給がほぼ確実であると見込まれる場合に限り、財産分与の対象になると考えられていました」が、「最近では、支給がほぼ確実といえるかどうかにかかわらず、退職金は財産分与の対象とするべきであると考えられているようです。
2. 定年退職が間近(おおむね5年以内)に迫っている場合の例外
熟年離婚などで、定年退職が間近(おおむね5年以内)に迫っているケースでは、少し計算方法が変わる場合があります。
この場合、「自己都合退職金」ではなく、「定年退職時に支給される予定の退職金」をベースとします。ただし、本来なら数年後に受け取るお金を「今すぐ」受け取ることになるため、受給前までの利息分(中間利息)を差し引く計算方法が採用されることがあります。
裁判例の紹介(広島高判平成19年4月17日)
夫が約28年間勤務したことについて妻の協力があったことから、自己都合により退職した場合でも受給できる地位にあることを現存する積極財産として財産分与の対象とし、同居期間に対応する額を分与の対象とした例があります。
3. 受け取れるのはいつ?「相手の退職時」まで待つ必要はある?
「財産分与の対象になるのは分かったけれど、実際に支払ってもらえるのは相手が退職した時なの?」と不安に思われるかもしれません。
ご安心ください。現在の実務では、特別の事情がない限り、支払時期は退職時ではなく、離婚時(判決や審判、和解の確定時)に即時一括で支払うよう命じられます。
ただし、
「一審被告Y1に対する退職手当は、退職時に支給されるものであるから、一審原告に対する上記退職手当に由来する財産分与金の支払いは、一審被告Y1が将来退職手当を受給したときとするのが相当である」と判示した判例もあります。
当事務所では、こうした実務の動向も踏まえながら、ご依頼者の状況に最も適した解決策をご提案いたします。
4. 会社に「退職金規程」がない場合はどうなる?
統計上約74.9%の企業が退職金制度を導入していますが、中小企業など、約2割の企業には退職金規程がありません。
退職金規程がない場合は、将来退職金が支払われるという確実性がないため、原則として財産分与の対象とすることは困難です。ただし、規程がなくても「長年にわたり退職金が支払われているという労働慣行」があり、従業員もそれを認識していることが証明できれば対象になり得ます。
しかし、配偶者がこの事実を証明するのは非常に難しいため、実務上は「その他一切の事情」としての考慮を裁判所に求めていくことになります。
最新の動向について
中小企業を中心に退職金制度の見直しや廃止を進める企業が増えている一方で、厚生労働省の統計では、過去3年間に退職給付制度の見直しを行った企業では「30~99人」の企業で制度の新規導入が廃止を大きく上回っています。
令和5年就労条件総合調査によると、退職給付制度がある企業の割合は前回5年前の80.5%に対して74.9%となっており、退職金は全体的に縮小しているように見えますが、実際には制度の見直しが主流であり、完全廃止は限定的です。
まとめ:正確な算定には専門家のサポートを
将来の退職金は、離婚後の生活を支える重要な財産です。しかし、正確な金額を算出するには、会社から「退職金見込額証明書」や「退職金規程」「自己都合退職時の減額率表」等を取り寄せ、勤務期間に応じた複雑な月割計算を行う必要があります。
相手方が退職金に関する資料の開示に非協力的な場合は、弁護士を通じた照会や調査嘱託などが有効です。
当事務所では、退職金の財産分与に関するご相談を多数お受けしており、豊富な経験に基づき適切なアドバイスをいたします。お一人で悩まず、まずは一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q: 夫の定年まで15年ありますが、退職金は財産分与の対象になりますか?
A: 退職金規程があり、支給が確実視される場合は、定年まで長期間あっても財産分与の対象となる可能性が高いです。現在の自己都合退職金額をベースに、同居期間の割合で計算されることが一般的です。
Q: 相手が退職金の資料を開示してくれません。どうすれば良いですか?
A: 弁護士を通じた調査嘱託や文書送付嘱託により、裁判所から勤務先に資料の開示を求めることができます。また、調停や審判手続きでは資料の開示を促すことが可能です。
Q: 退職金の財産分与を受け取るのは実際に退職した後になりますか?
A: 原則として離婚時に一括で支払われます。ただし、相手方の資力や事案の特殊性によっては、退職時の支払いとされる場合もあります。具体的な支払い方法は個別の事情により異なります。
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退職金を含む財産分与でお悩みの方は、不当に損をしないためにも、ぜひ一度後楽園フィリア法律事務所の弁護士にご相談ください。初回相談では詳しい状況をお伺いし、最適な解決策をご提案いたします。
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