突然の解雇。今後の生活費を考えると不安になる一方で、解雇前から続けていた副業があった場合、受け取るべき賃金からその副業収入は引かれてしまうのか、と疑問に思う方もいるでしょう。
この問題は、法律上「中間控除」として扱われ、ケースによって計算方法が異なります。今回は、解雇前から副業収入がある場合の、中間控除の基本的な考え方と注意点について解説します。
そもそも「中間控除」って何?
解雇が不当と認められた場合、本来であれば働き続けることで得られたはずの賃金(逸失利益)を会社に請求することができます。しかし、この期間に別の仕事で収入を得ていた場合、その収入分を差し引いて、会社から支払われる額を調整します。この調整の仕組みを「中間控除」と呼びます。
このとき、差し引かれるのは「解雇がなければ得られなかった収入」に限られます。
解雇前から副業収入がある場合はどうなる?
結論から言うと、解雇前から継続して得ていた副業収入は、原則として中間控除の対象にはなりません。
なぜなら、その副業は解雇とは関係なく、働き続けていても得られたはずの収入だからです。
この原則を証明するためには、解雇前から副業をしていた客観的な証拠が重要になります。
- 過去の収入記録(通帳の履歴、確定申告書など)
- 業務委託契約書
- 顧客とのやり取りの記録
こうした証拠を日頃から残しておくことが、いざという時の助けになります。
解雇後に副業収入が増えた場合は?
解雇後に副業に充てる時間が増え、収入が大幅に増加したケースでは、話が少し複雑になります。
例えば、解雇前は月に5万円だった副業収入が、解雇後に15万円に増えたとします。この場合、増加した10万円分は「解雇が原因で増えた収入」とみなされ、中間控除の対象となる可能性があります。
ただし、増加した理由が、解雇とは無関係な独立した要因(例:たまたま大きな案件を受注した、など)によるものであれば、中間控除の対象にはなりません。
この「解雇との因果関係」があるかどうかの判断は非常に難しく、法的な専門知識が求められます。
専門家への相談が重要な理由
中間控除の計算は、個々の状況によって大きく異なります。
- 副業の種類(業務委託、アルバイトなど)
- 収入の増減の理由
- 客観的な証拠の有無
これらの要素を総合的に判断する必要があり、ご自身で正確な計算や法的主張をすることは困難です。
不当解雇の事案では、逸失利益の計算を誤ると、本来受け取れるはずだった金額よりも大幅に少ない金額しか請求できなくなるリスクがあります。
当事務所では、解雇問題に直面した方の状況を丁寧にヒアリングし、法的な根拠に基づいた最適な解決策をご提案します。副業収入のことでお悩みの方、解雇問題に不安を感じている方は、どうぞお一人で悩まずに、お気軽にご相談ください。
あなたのケースではどうなるのか、具体的な金額や解決の見通しについて詳しくお話しいたします。