日本では、2つのタイプの離婚があります。
一つ目は、当事者の合意による協議離婚です。
もう一つが、合意が得られなかった場合に、一定の事情があることを理由として強制的に実現される離婚(裁判離婚) です。
裁判離婚には、調停離婚、審判離婚、和解離婚、認諾離婚及び判決離婚の5種類が含まれます。
一般的には、調停と判決(訴訟)離婚を指すことが殆どです。
▶1 協議離婚とは?
協議離婚は、夫婦双方が離婚に合意し、話し合いで条件を決めた上で成立する離婚方法です。役所に離婚届を提出し受理されることで正式に離婚が成立します。
この方法は以下のような特徴があります。
- 手続きが簡単:家庭裁判所を通さず、直接役所で手続きが完了します。
- 費用が抑えられる:弁護士費用や裁判費用が発生しないため、経済的な負担が軽いです。
- 短期間で完了:話し合いがスムーズに進めば、迅速に離婚が成立します。
ただし、養育費や財産分与などについて適切な合意を得られないと、後々トラブルになる可能性があります。
▶2 裁判離婚とは?
裁判離婚は、夫婦間の話し合いでは解決できず、裁判所に訴えを提起して行う離婚の形態です。
これは通常、以下の段階を経て進みます。
- 調停:まずは家庭裁判所で調停を行い、解決を試みます。このことを、調停前置主義といいます。
- 訴訟:調停でも合意が得られない場合、訴訟を提起して、裁判官が最終的な判断となる、判決を下します。
裁判離婚は以下のような場合に選ばれます。
- 一方が離婚に同意しない場合
- 養育費や財産分与などで大きな意見の対立がある場合
この手続きは時間がかかるうえ、精神的な負担も大きいのがデメリットです。
▶3 日本の離婚件数
日本では、年間の離婚件数は減少傾向にあります。
最新の統計によると、令和4年(2022年)には約17.9万件の離婚がありました。
これは、2013年の約23.1万件から減少しています。
ただし、離婚数の減少は、人口の減少と関係がありそうです。
▶4 協議離婚と裁判離婚の件数
統計によると、日本では圧倒的に協議離婚が多いのが現状です。
「協議離婚」の割合は、昭和 25 年の 95.5%から低下を始め、昭和 37 年以降は 90%前後で推移していましたが、平成 16 年以降、再度低下し、 80%台となりました。
令和2年は 88.3%となっています。
一方で、裁判離婚は全体のわずか12%弱程度にとどまります。
統計の詳細については、厚生労働省の公式サイトで公開されている資料をご覧ください。こちらから最新のデータや詳細な分析を確認することができます。
▶5 弁護士としてのコメント
これまで多くの離婚事件を扱ってまいりましたが、近年、解決までに長期化する傾向が見られます。特に、親権や面会交流に関して意見の一致を見出すことが難しいケースが増えている印象です。
また、財産分与についても、家族のありかたや働き方の多様性に伴い、従来より複雑化する事案が多く見受けられます。
問題を抱えた場合には早い段階で専門家の意見を求めることが、時間的・経済的な負担を軽減する鍵となるでしょう。離婚の方法にはメリットとデメリットがあるため、ご自身の状況に最適な方法を選ぶことが重要です。