離婚後の戸籍と苗字(氏)はどうなる?手続きと新生活の準備

離婚は人生の新たなスタートですが、新生活に慣れるだけでも大変な中、想像以上に多くの手続きが待ち受けています。住民票の変更からお子様の手当の申請、各種名義変更まで、多岐にわたる手続きを効率よく、漏れなく進めることが重要です。

このコラムでは、離婚後に必要な手続きの全体像を分かりやすく解説し、スムーズに新生活を始められるようサポートします。


目次

離婚後の手続きを効率的に進めるコツ

離婚後の手続きは多岐にわたるため、計画的に進めるのが成功の鍵です。特に、以下を意識すると効率が大幅にアップします。

  • 役所での手続きを最優先に:運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類を早めに変更しておくと、その後の手続きがスムーズになります。同じ場所でできる手続きは、まとめて済ませてしまいましょう。
  • リストを作成して管理:ご自身の状況に合わせて必要な手続きをリスト化し、完了したものにチェックを入れながら進めると、漏れを防ぐことができます。

氏名・戸籍に関する手続き

離婚後も結婚中の姓を名乗りたいか、旧姓に戻すかによって手続きが異なります。手続きをしないとどうなるかも含めて解説します。

結婚中の姓を名乗りたい場合(婚氏続称)

婚姻中の苗字を使い続けるには、離婚から3ヶ月以内に役所「離婚の際に称していた氏を称する届(婚氏続称届)」を提出する必要があります。
この手続きを行うと、自分を筆頭者とする新しい戸籍が作られます。

もし、この手続きを離婚から3ヶ月以内に行わなかった場合、婚姻前の姓に戻ることになります。

3ヶ月を過ぎてから結婚中の姓を名乗りたい場合は、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」を行う必要があり、手続きが煩雑になります。

旧姓に戻し、お子様も同じ姓にしたい場合

親が離婚しても、お子様の戸籍と苗字は影響を受けず、元配偶者と同じ戸籍に残ります。そのため、親権者となった側が旧姓に戻った場合、親と子供の苗字が戸籍上異なる状態になります。

お子様を親権者と同じ戸籍に入れ、同じ苗字にするには、まず家庭裁判所で「子の氏の変更許可の審判」を申し立てる必要があります。
許可が得られたら、役所に「入籍届」を提出します。

親と子供の戸籍が別々になることのデメリット

親権者と子供の戸籍が別々になることは、いくつかの不便やデメリットを引き起こす可能性があります。

  • 手続きの煩雑さ
    親子関係を証明する際、それぞれ別の戸籍謄本を取得・提出する必要が生じます。
  • 日常生活での不便
    親と子供の苗字が違うことで、学校や病院などで親子関係を説明する必要が出てきたり、書類手続きの際に手間取ったりすることがあります。

役所での主要な手続き

離婚後に住所や姓が変わる場合、以下のような手続きが必要です。事前に必要書類を役所のウェブサイトで確認しておきましょう。

  • 住民票の異動
    引っ越しを伴う場合、転居届(同じ市区町村内)や転出・転入届(別の市区町村へ)を提出します。
  • マイナンバーカード・印鑑登録の変更
    氏名や住所が変わった場合は、マイナンバーカードの変更手続きが必要です。姓が変わる場合は、印鑑登録の変更も行いましょう。
  • 国民健康保険・国民年金の手続き
    これまで元配偶者の扶養に入っていた場合、離婚と同時にその資格を失います。離婚後14日以内に国民健康保険への加入や、国民年金の種別変更が必要です。

お子様がいる場合の手続き

お子様がいる場合、利用できる支援制度があります。

  • 児童手当の受給者変更
    親権者が変わる場合、児童手当の受給者変更手続きが必要です。
  • 児童扶養手当の受給
    ひとり親家庭を対象とした給付金制度です。所得制限があるため、ご自身の状況が支給対象か確認しましょう。
  • ひとり親家庭等医療費助成制度
    お子様の医療費の自己負担分を補助する制度です。所得や住民税の課税状況によって助成割合が異なります。

その他必要な手続き

役所以外でも、さまざまな名義変更が必要です。

  • 運転免許証、パスポート
    氏名や住所が変わった場合は、速やかに書き換え手続きを行いましょう。
  • 銀行口座、クレジットカード、生命保険
    名義や住所の変更が必要です。
  • 年金分割
    夫婦が支払った厚生年金保険料の納付記録を分割する制度です。将来の年金額に影響するため、忘れずに行いましょう。

まとめ:弁護士がお手伝いできること

離婚後の手続きは非常に多く、複雑で、中には期限が決まっているものもあります。すべてを一人でこなすのは、精神的にも肉体的にも大きな負担となるでしょう。

当法律事務所では、依頼いただいた離婚事件(離婚調停や交渉)が成立した後も、お客様が安心して新生活を始められるよう、各種手続きについて継続的にサポートする体制を整えております。

離婚後の煩雑な手続きに関するご相談はもちろん、「本当にこの条件で離婚して良いのか」「離婚後の養育費や財産分与で不安がある」といったお悩みまで、幅広くサポートさせていただきます。法律の専門家である弁護士が、お客様が有利な条件で離婚できるよう、そして離婚後のトラブルを防げるよう、親身にサポートいたします。

新しい生活をスムーズに、そして安心して始められるよう、ぜひ一度、当法律事務所の弁護士にご相談ください。

この記事を書いた人

東京弁護士会 
後楽園フィリア法律事務所
代表弁護士 大﨑美生

東京都文京区小石川/春日で弁護士をしています。
個人の方向けの注力分野は、「男女問題・離婚・相続・労働問題」です。親切・丁寧・迅速・そして圧倒的な成果の獲得に自信があります。オンラインで全国各地のご対応可能です。

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