【2026年2月最新】
離婚後の共同親権導入が決まり、2026年4月1日から施行されます。
いつから適用される?すでに離婚している人は対象?DVへの懸念は?など、民法改正のポイントを東京都文京区の後楽園フィリア法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。
令和6年5月、民法等の一部を改正する法律(改正法)が成立・公布され、父母の離婚後の親権の在り方が見直されることになりました。政府は、この改正民法の施行日を令和8年(2026年)4月1日とする政令を閣議決定しました。
この改正は、父母の離婚が子どもの養育に与える影響や、養育の多様化等の社会情勢を踏まえ、子の利益を確保することを目的としています。
特に大きな変更点として、離婚後も父母双方が親権を持つことができる「共同親権」を選択できるようになることが挙げられます。
共同親権を巡っては、子の養育への父母双方の関与を求める意見がある一方で、DV・虐待事案のリスク、父母間の対立激化の子に与える影響についての懸念など、多岐にわたる議論が存在します。
本コラムでは、このような賛否両論があることを踏まえ、新しい制度の客観的な枠組みと、ご自身のケースで子の利益を最優先してどのように判断すべきかについて、弁護士が解説します。
離婚後の親権は「共同親権」と「単独親権」の選択制へ
現行の民法では、離婚後は父母のいずれか一方のみを親権者と定める「単独親権」が必須でした。
改正法は、この単独親権に加え、父母の協議によって「共同親権」を選択肢として加えます(改正民法819条1項)。この制度は、「選択的共同親権制」と呼ばれ、共同親権を義務化するものではありません。
次の流れでどちらを選択するか決めることになります。
① 父母の協議による選択
協議離婚の場合、まず父母の協議によって、共同親権とするか、単独親権とするかを決めることになります。
父母は、子の利益を最も優先して判断しなければなりません。
② 協議が調わない場合は家庭裁判所が決定
父母の協議が調わない場合や、裁判離婚の場合は、父母のいずれか一方または双方が家庭裁判所に親権者の指定を求める申立てを行い、家庭裁判所が、以下の事情を考慮し、子の利益にかなう方(共同親権か単独親権か)を定めます(改正民法819条5項・7項)。
- 父母の双方又は一方と子との間の関係
- 父と母との関係(意思疎通や協力の可能性を含む)
- その他一切の事情
裁判所は、父母間の関係性や協力体制の可能性を審査し、共同親権が子にとってマイナスになり得ると判断すれば、単独親権を命じます。
親権の協議が調わない場合でも協議離婚は可能に
現行法では、親権者を協議で定めなければ離婚届は受理されませんでした(現行民法765条1項・819条1項)。
しかし、改正法では、親権者の協議が調わない場合であっても、家庭裁判所に親権者指定の審判又は調停の申立てがされていれば、離婚届を提出して協議離婚をすることが可能となります(改正民法765条1項2号)。
これは、DV事案等において被害者が早期に離婚を成立させる必要がある場合に、親権者の決定を待たずに離婚を先行させることを可能にするための重要な制度変更です。
ただし、離婚後に親権者が速やかに定められるよう、家庭裁判所での手続を並行して進めることが重要です。
DV・虐待事案は単独親権
共同親権の導入に対する最大の懸念点の一つが、DVや虐待が存在する事案において、被害者が加害者と継続的に関わらざるを得なくなるリスクです。
改正法は、子の安全確保を最優先するため、以下のいずれかの事由がある場合は、裁判所は必ず父母の一方のみを親権者(単独親権)と定めなければならないという法的歯止めを設けています(改正民法819条7項ただし書)。
- 父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき。
- 以下の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき。
- 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無
- 親権者の定めについての協議が調わない理由
- その他の事情
POINT
裁判所は、身体的暴力だけでなく、精神的DV、モラルハラスメントなど、父母が共同で親権を行使することが事実上不可能となるような心身に有害な影響を及ぼす言動も考慮します。
もし、DVなどを背景とする不適切な合意によって共同親権が定められた場合でも、家庭裁判所の手続きにより、親権者を単独親権に変更することが可能です(改正民法819条6項・8項)。子の安全が脅かされる場合は、弁護士は単独親権の必要性を強力に主張・立証します。
共同親権下における親権の行使方法と意見対立への対応
共同親権が選択された場合でも、全ての事項について常に父母の同意が必要となるわけではなく、意見対立が生じた場合の対応方法も法に定められています(改正民法824条の2)。
① 単独行使が可能な行為(一方が単独で決定できる)
- 子の利益のため急迫の事情があるとき(同条1項ただし書)
- 例:DVや虐待からの避難(子の転居を含む)、緊急の医療行為など
- 監護及び教育に関する日常の行為(同条2項)
- 例:日々の食事・服装、習い事の選択、一般的な医療処置など
②共同行使が必要な行為(父母が共同で決定すべき)
上記①を除き、子の人生に重大な影響を与える事項は共同の意思決定が必要です。
- 例:居所の指定や転居(DV避難の場合を除く)、進学先の選択、重大な医療行為など
父母の意見が対立した場合の対応
共同で親権を行うべき事項について意見が対立した場合は、父又は母の請求により、家庭裁判所が特定の事項について一方の親に単独で親権を行使させることができる旨を定めることができます(改正民法824条の2第3項。「親権行使者の指定」)。これにより、意見の対立によって子の養育が滞る事態を防ぐための仕組みが一応は用意されています。
監護者の指定
共同親権が選択された場合でも、父母の一方を監護者と定めることができます(改正民法824条の3第1項)。監護者と定められた親は、子の監護及び教育に関する事項について親権行使者と同一の権利義務を有し、単独で監護権を行使することができます。これにより、共同親権下であっても、日常の養育を主に担う親を明確にすることが可能です。
養育費・親子交流などその他の改正点
子の利益確保のため、親権以外の養育費や親子交流についても改正が行われます。
養育費に関する改正
- 法定養育費制度の創設(改正民法766条の3):父母の協議がない場合でも、離婚時から子の最低限度の生活費を請求できる制度が創設されました。金額は法務省令により、子ども1人当たり月額2万円と定められています。
- 先取特権の付与:養育費債権に先取特権が付与され、債務名義がなくても差押えの手続を申し立てることが可能となり、養育費の回収の実効性が向上します。
親子交流に関する改正
- 親子交流(改正民法766条1項):改正法では、従来「面会交流」と呼ばれていた制度について、「親子交流」という用語に改められました。これは、子にとって親との交流が「面会」にとどまらず、電話やメールなども含む多様な方法で行われるべきとの趣旨を反映したものです。
- 父母以外の親族との交流:子の利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、祖父母など父母以外の親族と子との交流を実施する旨を定めることができるようになりました。
共同親権についてよくあるQ&A
- Q1. 共同親権になった場合、子は父母の家を行き来することになりますか?
A1. 共同親権となった場合でも、子の具体的な養育方法(監護のあり方)は、子の利益を最も優先して協議等で定めることになります。子が父母双方の家を行き来する交互養育もあれば、主に一方の家で養育されることも、どちらもあり得ます。共同親権=交互養育ではありません。なお、上記のとおり、共同親権下でも父母の一方を「監護者」と定めることができ(改正民法824条の3)、監護者が日常の養育を主に担うことが明確化されています。
- Q2. DVや虐待の事実を証明するために、客観的証拠は必要ですか?
A2. DVや虐待があったことを裏付ける客観的な証拠の有無のみで判断されるわけではありません。個別の事案ごとに、それを基礎付ける事実と否定する事実とが総合的に考慮されます。ただし、客観的証拠は裁判所の判断を基礎づける重要な事実の一つとなります。弁護士は、被害者の立場に立ち、裁判所に理解される形でDVの事実を整理し、単独親権の必要性を主張します。
- Q3. 共同親権下で、同居親が子の居所(住所)を一方的に変更(転居)することはできますか?
A3. 子の転居は、子の生活に重大な影響を与えるため、原則として父母が共同して決定すべき事項となります。しかし、DVや虐待からの避難が必要な場合には、「子の利益のため急迫の事情があるとき」に該当し、一方の親が単独で子の転居を決定することができます(改正民法824条の2第1項ただし書)。
- Q4. 離婚する前に共同親権を合意しなかった場合でも、後から共同親権にすることはできますか?
A4. できます。改正法施行後は、それまでに離婚している父母も、親権者の変更の申立てをすることができます(改正民法819条6項)。裁判所は、子の利益のため、父母と子との関係や父と母との関係その他一切の事情を考慮して判断します。
- Q5. 親権者の協議が調わなくても協議離婚はできますか?
A5. 改正法のもとでは可能です。現行法では、親権者を協議で定めなければ離婚届が受理されませんでしたが、改正法では、家庭裁判所に親権者指定の審判又は調停の申立てがされていれば、親権者を定めないまま離婚届を提出することが認められます(改正民法765条1項2号)。これにより、特にDV事案等において、離婚を先行させる道が開かれました。
弁護士にご相談いただくことの重要性
今回の民法改正は、共同親権と単独親権の「選択」を導入しましたが、どちらを選択するかは、子の利益に照らして極めて重大かつ難しい判断となります。
特に、DVや虐待事案においては、子の安全を確保するために、単独親権を主張・立証することが不可欠です。また、共同親権を選択した場合でも、その行使方法や意見対立の調整について、法的な知識が求められます。
弁護士として求められるサポートは以下のとおりです。
- 公正な判断のための法的サポート:共同親権・単独親権のどちらが子の利益にかなうかを冷静に分析し、調停や裁判での最適な主張をサポートします。
- DV・虐待事案における子の安全確保:DVの事実を的確に主張・立証し、単独親権や親権変更など、子の安全を守るための法的手続きを迅速に進めます。
- 養育費の確実な確保:改正法に基づく法定養育費の請求や、強制執行手続きなど、子の生活基盤を守るための手続きを代行します。
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